よみがえる大野 日本語=タミル語接触言語説 タミル語による記紀、万葉集の未詳語などの考察 2023/9/4田中 孝顕 (著)幻冬舎 北九州に残る、支石墓、甕棺、箱式石棺墓、南インドに残るそれらの痕跡は、かつて日本列島に渡来してきたものが残したものに違いない…

どきどき古代史

大野説は如何にして闇に葬られたのか?

言語学界の固執を暴き、タミル語でしか分からない古代日本語の本当の意味を追求する。

大野 晋博士による「日本語タミル語説」は、提唱されて以来40年間経つ今日まで、
多くの学者によって全否定されてきた。

しかし本当にこれはおかしな説なのだろうか?

例えば、ヤマトはタミル語で日の本、巻向は日の出、
木花開耶姫は「王の命・早く・散らす」姫を意味する。

これまで意味不明とされてきた日本書紀・万葉集・古代地名などの未詳語を
タミル語で解くと、驚くべき古代日本の真実が明らかに!!

 

まずは何より、この本の出版を決めた出版社に感謝したい。いまどき650ページもある大部の本が、税込みで2200円というのは驚きである。

その価格設定から、どうしても日本人にこの本を読んでもらいたいという決意を感じた。

大野博士の日本語タミル語説というのは、比較言語学者のお歴々からケチョンケチョンにこき下ろされた代物だ。

それをものともせず、よくぞこの書籍の著者は完全擁護にまわったものだ。

始めの部分で、その件について述べている。

大野博士の日本語タミル語説を批判した言語学者とは、具体的には、安本美典、長田俊樹、山下博司の諸氏である。

とくに山下博司東北大学名誉教授の大野説批判が決定的であったという。

山下教授は、タミール語の祖語である、ドラヴィダ語のスペシャリストであり、インド文化への理解も深く、斯界の泣く子も黙る重鎮であったかららしい。

 

この引用文にあるように、参加した諸賢は、「大野説など絶対にあってはならない馬鹿げた絵空事」という予断をお持ちになっておられる。

学問上の討議であるにもかかわらず、「ご高齢にもかかわらず」、「御高名な学者にあまり失礼なことをもうしあげにくくなってしまった」などと慇懃に書かれるのも、そういうこともあってのことと思われる。

論旨に緊張感がないのは圧倒的な勝利を確信されているためであろう。

「考古学や形質人類額の立場からまったく可能性がない」と、長田氏は断言されるが、ではタミール語伝播説を元に、考古学や形質人類学の立場から研究した学者がいるのか、といえば、誰一人としていないのである。

30ページ

 

私のような素人がみても、どう考えても日本語に似すぎている、という言葉がタミール語には多すぎる。

アマゾンレビューが熱い…

こんなにも大野説にはファンがいたのかと思う。

長田先生も、否定派に回ったものかあと悲しくなったが、長田は長田でも向こうは長田俊樹、こちらは長田夏樹、長田は長田でもまったくの別人であった。

 

邪馬台国の言語 全面新稿: 弥生語復元 2010/9/1長田 夏樹 (著)学生社

Version 1.0.0

言語学者・長田夏樹は、日本の古代言語は三つの異なる地域に分けられるという

すなわち、S音の北部九州、ts音の近畿、tf音の東国

魏志倭人伝を分析すると、ほとんどがS音をつかっていることが明らかであり
これから推測すると、S方言圏は北部九州であり、云々



日本語の起源 新版 (岩波新書) 1994/6/20大野 晋 (著)

Version 1.0.0

日本語とはどこに起源を持つ言葉なのか.旧版(一九五七年刊)では答の得られなかったこの問いに,数多くの単語,係り結びや五七五七七の短歌の形,お米や墓などの考古学的検証,さらにカミ,アハレ,サビなど日本人の精神を形作る言葉の面から古代タミル語との見事な対応関係を立証して答え,言語と文明の系統論上に決定的な提起を行う.

↑この本の118ページから140ページの比較写真をみて、古代インド人たちが日本列島に来ていなかったと強弁するのは難しいのではないか?

甕棺[かめかん]とは北部九州に特有の棺のことです。 大型の素焼きの土器に亡くなった人の手足を折り曲げて入れ、土の中に埋める埋葬方法で、弥生時代中頃のおよそ200年の間、盛んに使われていたようです。 吉野ヶ里では丘のいろいろな場所にまとまって埋葬されており、想定では15,000基を超える数が埋められていると考えられます。


甕棺墓列 佐賀県吉野ケ里遺跡

南インド アディチャナルール(Adichanallur)遺跡の甕棺墓

 

↑支石墓に埋められていた人骨の分析も複数やったみたいだ。ただ、その骨は縄文的な特徴を持つとされてた。縄文的とは、南インド人のものではなかったか。さすがに調べた日本の人類学者も、まさか南インドからの人たちだったとは思ってもみなかっただろう。

 

アンダマン諸島の人々には、Y染色体のハプログループD1a2b-Y34537が比較的多く見られます。
これは日本列島や南西諸島でも高頻度に観察されるハプログループDに属しています。

【解説】
Y染色体のハプログループDは、東アジアにおける最古層のタイプと想定されています。
日本ではD1a2a⁻M55、アンダマン諸島ではD1a2b-Y34537が、チベットではD1a1-Z27276がそれぞれ高頻度にみられます。

アンダマン諸島

アンダマン人

アンダマン人(Andamanese People)は、インド洋東部に浮かぶアンダマン諸島の先住民族の総称。ネグリトの一種で、アンダマン諸語を話す。大アンダマン系とオンガン系があり、両者の関係性についてははっきりしない(言語は別系統と考えられる)。インド人の入植により大アンダマン人のほとんどが絶滅し、オンガン系諸民族も人口は少ない。

 



しかし、この本を読んでいくと、不思議な感慨にとらわれる。

著者の分析の眼は、広がって広がって、万葉集の未詳語どころではない、古代日本語のすべてに達する勢いだ(笑)。

私は、この音韻記号というのを読むのは苦手で、ほとんど日本語の解釈のみをみて判断してる。

果たして、本当のところはどうだったのか、大いに気になるところである。

併せて読みたい

日本語の文法を考える (岩波新書 黄版 53) 1978/7/20大野 晋 (著)

国文法はつまらないと敬遠されることが多い。しかし、古来日本語には美しい秩序があり、日本人はそれを巧みに使い分けてきたと考える著者は、古典語・現代語を通じた新しい文法の体系を探求しようとする。文の基本的構造、名詞や代名詞の性格、動詞活用形の起源などを分析しながら、日本語の本質とは何かの解明に迫る。

 

日本語はいかにして成立したか (中公文庫 お 10-6) 2002/大野 晋 (著)

 

バナナの起源の謎 古代チベット文明の謎 1985/立石 厳 (著) 大陸書房から

バナナの起源の謎 古代チベット文明の謎 1985/立石 厳 (著) 大陸書房から
バナナの起源の謎 古代チベット文明の謎 1985/立石 厳 (著) 大陸書房から

 

「弥生人の先祖は首狩りをしていた?」 稲作儀礼と首狩り 1995 鳥越 憲三郎 (著) 雄山閣出版

「弥生人の先祖は首狩りをしていた?」 稲作儀礼と首狩り 1995 鳥越 憲三郎 (著) 雄山閣出版
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