カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容 2014/宮崎 賢太郎 (著)吉川弘文館 著者・宮崎 賢太郎氏の見解に全面的に同意する…

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隠れてもいなければ、キリスト教徒でもなかった! オラショ(祈り)や諸行事に接し、日本民衆のキリスト教受容の実像に迫る。

●宮崎 賢太郎:1950年、長崎市生まれ。東京大学文学部宗教学宗教史学科卒業。同大大学院人文科学研究科宗教学宗教史学修士課程中途退学。2016年3月、長崎純心大学人文学部比較文化学科教授を退官。現代も生きるカクレキリシタンの末裔たちの信仰世界を明らかにすべくフィールドワークを行い、日本人のキリスト教受容の歴史を研究している。

隠れキリシタンが信じていたものはキリスト教ではない。

本書の核心を一言でいうとそうなる。

平戸、五島列島、長崎などに今も暮らして信仰を守り続けている、カクレキリシタンの人々について、2001年に取材した内容をベースに、最新の状況も追記した、貴重な調査結果がまとめられている。

戦国時代に日本にキリスト教が伝えられて、その後、キリスト教が禁止されても、彼らはその信仰を守り続けてきた。

現在の彼らの信仰は、仏教や神道と一部が融合してしまっており、正統的なカトリックの教えとはかなり異なっているという。

 

本書 あとがき 215ぺージより

彼らが苦心惨憺して今日まで守り続けてきものは、キリスト教とはかけ離れた、「先祖が命がけで守り続けてきたものを自分の代で絶やしてはならぬ」という、子孫として先祖を思う一心から出たものでした。

そして、その先祖がキリシタン時代に命がけで守っているきたのも、キリシタン信仰と呼ぶことのできる一神教的な性格のものではなく、日本の伝統的な諸神仏信仰に加えて、さらに強く現世利益的な願いを叶えてくれそうな、南蛮渡来の力ある神をプラスしたものというのが実態でした。

さらに言えば、1574(天正2)年から1576年にかけて、長崎、大村純忠の領内で、3年間で、35000人余りが改宗した。

領内で神社仏閣が破壊されたあと、6万人の全家臣(まま 6百人の間違いでは?)がキリシタンとなった。

なぜ、大村純忠がこれほどまでに領内のキリシタン化に躍起になったかと言えば、弱小戦国大名として生き残るにはキリシタンとの密接なつながりを有することによって南蛮船を招く必要があったからです。

ここまで読んできて、はたと思い当たる説を述べている人のことを思い出した。

その人物とは、作家・八切 止夫(やぎり とめお、1914年12月22日 – 1987年4月28日)である。

八切 止夫(やぎり とめお、1914年12月22日 – 1987年4月28日)は、日本の小説家。日本シェル出版代表。戦前から戦後まもなくにかけては耶止説夫のペンネームで冒険小説や推理小説を書き、1960年代後半に八切止夫のペンネームでは歴史小説家となる。「八切史観」と呼ばれる独自の歴史観を展開した。

 

キリスト教は、火薬に使われるチリ硝石の販売で武将らを懐柔した(キリシタン大名もチリ硝石入手のため)

チリ硝石購入の対価として、日本人奴隷が売られた

奴隷売買を禁止するため、秀吉はキリシタン宣教師追放令を出した

再三再四、八切止夫が言っていたのは、

黒色火薬を製造するにあたって、日本では、木炭と硫黄は何処にでもあるが、硝酸カリウムだけは産出しない。

なので、キリスト教徒になって、南蛮人から買わなくてはならないということだ。

黒色火薬(こくしょくかやく 英: black powder)は、可燃物としての木炭と硫黄、酸化剤としての硝酸カリウム(硝石)の混合物からなる火薬の一種である[1
標準的な比率(化学量論的組成比)は質量比で硝酸カリウム:硫黄:木炭=75:10:15。

(後年、飛騨高山、五家荘あたりで煙硝を生産するが量は微々たるものであるし、時間もかかりすぎる(尿を発酵させて作ってたみたいだ))

YouTubeの動画にたくさん上がっているが、やはり、「日本人を救った豊臣秀吉」というアングルからの歴史の大作が待たれる。

 

1543年(天文12年)に種子島に1隻の中国船が漂着し、乗り合わせていたポルトガル人が鉄砲をもっていた。

島主の種子島時堯は大金を積んで2挺の鉄砲を譲り受けた。

時堯自身その使用法を学び、さらに小姓篠川小四郎に命じて火薬の製法を学ばせ、八板金兵衛清定(清貞とも)に鉄砲を研究させた。

篠川小四郎は、ポルトガル人より「搗篩・和合の法」とよばれる黒色火薬の製造法と、その原料が硝石、硫黄および木炭であることを習った。

彼はその努力によって、ポルトガル人がもたらした火薬よりさらに強力な発射薬としての黒色火薬をつくることに成功した。

 

併せて読みたい

カクレキリシタン 現代に生きる民俗信仰 (角川ソフィア文庫) 2018/宮崎 賢太郎 (著)

長崎に今も、カクレキリシタンがいるのを知っていますか?

信仰の自由が認められている現代、長崎県下には今なお、潜伏時代の信仰を守る人々、カクレキリシタンがいる。
だが、彼らは隠れてもいなければキリシタンでもない。
その信仰世界は、キリスト教徒大きく異なり、神や儀礼、唱文などは、日本の伝統的な先祖崇拝や生活と融合し、独自の民俗宗教へと変貌していた。
秘蔵の像や行事の様子など、貴重な写真を多数掲載。
圧巻のフィールドワークで、知られざる「独自宗教」を活写する。

キリシタン・バテレン (1955年) (日本歴史新書)岡田 章雄

陰影に富む文章でこの本は特に面白い。日本仏教の坊さんたちも、バテレンから論争をけしかけられてよく対抗していたと。他に「切支丹の妖術」が面白い。

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