嘘だらけのヨーロッパ製世界史 2007/岸田 秀 (著) 新書館 人類文明の母としてのアフリカ

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最初の人類は黒人で、アフリカに発生したと一般に考えられている。

何万年前かは知らないが、黒人から白子(アルビノ)が大量に発生した。

この白子は、毛色が違っていたので、黒人から差別され、疎外され、肥沃なアフリカの地から北へと、貧しい寒冷の地、ヨーロッパへと追っ払われた。

そこで成立したのがヨーロッパ民族である。つまり、ヨーロッパ民族は人類最初の被差別民族であった。

ここに起因するヨーロッパ民族の劣等感がその後のヨーロッパの歴史を説明する。

 

人類の起源は『アフリカ単一起源説』がほぼ定説になっている。

遺伝的に、黒人から白人は発生するが、白人から黒人は発生しないという事実からすると著者の仮説は大変説得力を持つ。

 

他方、ジャワ原人・北京原人・ネアンデルタール人などがおよそ150万年前には各地域で現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)に進化していったとする多地域進化説がある。

以下の文は『アフリカ単一起源説』が正しいならばという仮定付きの話である。

 

「歴史時代からごくおおまかに話を始めると、

古代エジプト帝国において差別され、虐待された奴隷が逃亡してユダヤ民族を形成し、そのユダヤ民族の中で差別された階層がキリスト教徒となり、
そのキリスト教がローマ帝国の差別された下層階級に浸透し、ついにローマ帝国を乗っ取り、

キリスト教に支配されたローマ帝国がヨーロッパ民族を支配し、差別してキリスト教を押しつけ、キリスト教徒となったヨーロッパ民族の中の差別され、
疎外された階層がキリスト教(カトリック)に反抗してプロテスタント(文句言い)となり、

その一部のピューリタンがヨーロッパから追い出されてアメリカに渡り、先住民を差別し、虐殺してアメリカ帝国を建設し、今や世界征服に乗り出している。」

 

↑みんな忘れているが、日本人移民に対する白人たちの風当たりも凄まじいものがあった。

今考えると明らかに常軌を逸した白人の日本人への対応を思い出すにつけ、岸田秀のようなもっと根源的なものに、白人の黄色人差別の理由を解明したくなる。

 

排日の歴史―アメリカにおける日本人移民 (1972年)若槻 泰雄 (著) (中公新書)

排日移民法の軌跡 : 21世紀の日米関係の原点 吉田忠雄 著 経済往来社 1990

アメリカの人種的偏見 日系米人の悲劇 (1970年)ケアリー・マックウィリアムス/新泉社

 

駐米イギリス公使ロナルド・キャンベル(Ronald Hugh Campbell)との私的な会話で、
ルーズベルト大統領は、スミソニアン博物館の研究者であるアレス・ハードリチカによる、

日本人の頭蓋骨は「われわれのより約2000年、発達が遅れている」という見解を紹介した上で、

「人種間の差異を重視し、人種交配によって文明が進歩する」などと語り、「インド系やユーラシア系とアジア人種、欧州人とアジア人種を交配させるべきだ。

だが日本人は除外する」、「日本人が敗北した後は、他の人種との結婚をあらゆる手段を用いて奨励すべきである」などとキャンベルに語ったという。

↑アメリカ白人はリーダー自らがこんなだから、まこと呆れる…

こういう狂人を相手に「日米交渉」とかやってた、近衛内閣の人たちの努力には頭が下がる。

 

人種差別観念が白人種において一番強いのには理由がある。

白人種の誕生は、黒人による人種差別の結果である。

なので白人種は、深層では絶滅の恐怖に怯えている。

彼らは、人類最初の差別された人種であった。

近代ヨーロッパ人の有色人種に対する差別は、この失地回復乃至は復讐ではないだろうか。

 

アマゾンレビューをみると、評価②とかつけてて「白人アルピノ発症説」には反発も多いみたいだ。

またそういう人はトンデモだと岸田秀を罵っている。






ここで岸田秀がまるまる影響を受けたという、浜松日赤病院の皮膚科の医者である高野信夫の「黒人→白人→黄色人」三一書房1977を今一度考察してみたい。

 

「私は、白子の遺伝子が決まっていて、これが普通の人にも代々ヘテロの状態で継続されているとは考えていない」

「現代の遺伝学で認められている内容」を否定し、「白子を決定する遺伝子座があったとしても、その部分が物理的にも化学的にも、他所よりも影響を受けやすく、比較的容易に変化させられるのではないだろうかと思っている」(p.191)。

「このように白子は普通の皮膚の色のヒトから出現して、白子同士で白子を何十代か産み続けると、やがて白人ができあがってくるのである。

つまり何十代か白子が続くと、白子の因子が定着した状態になり、普通の皮膚と対等の因子となる。そしてこれを白人という」(p.192)。

さて、何十代かして定着することについては「もちろん、解剖学的には問題はなく」、人間については資料が少ないが、「魚では立派に証明されているのである」(p.194-5)。そして、高野が「立派に証明されている」例としてあげたのが、洞穴内にいる「白子の魚」です。

ここで高野は、洞穴性生物についての本↓を参考にして議論を進める。

吉井良三, 1970,『洞穴から生物学へ』NHKブックス.

一般的に洞穴性生物は、暗い洞穴内に入り込んだ後でその環境に適応して変化し、体色が薄くなったり目が退化したと考えられている。
しかしそうではなく、「地表ですでに白いからだになった生物が誕生して、これが洞穴に入り込んで生活してきた」(p.196)。

つまり一般的に考えられているのとは順番が逆で、白くなったのは洞穴で暮らし始めた後ではなく、前なのだということです。

いずれにせよ、洞穴にいる白い魚が仮に「白子」だとすれば、普通の色の魚との間の雑種第1世代は全部普通の色になり、

第2世代の分離比は白1に対して普通の色3になるはずです。

でも実際はそうではなく、雑種第1世代には「中間の色だけが出現」し、第2世代では白~普通
の色までの「色とりどりの色が出現した」。

これを論拠に高野は、「白い魚は単なる白子から白魚に変化していたのである」と続ける 196ページ)。

 

こうして「何十代か白子が続くと、白子の因子が定着した状態」になるという高野の説は、魚の例を用いて証明された。

「これをヒトにあてはめてみれば、

はじめのヒトから白子が生まれ、その白子が集団を作ってより白子に適した地(太陽の照りつけない地)へと移動して、

ここで白子同士で白子の子孫を作っていった。これが何十代かして白子から白人になって、やがて、この白人がもとの黒人と接触して子を作った。

この子が中間色の黄色人ということになる」(p.197)。

これが「白子混血説」の核心であり、一番手短に要約している文章です。

 

↑改めてこれを書くに際して、再精読したが、あまりの説得力に感動してしまった。

今西錦司の本もそうだが、やや観念的になるのはやむを得ないだろう。

あなたの(高野信夫氏)の考えは正しいとしか言えない。

蛇足だと思うのが、白村江の戦いとその結果を受けての論説だ。
日本の真の歴史について無知な岸田秀は言う。

 

「わたしによれば、日本人が天孫降臨神話を作り出したのは、すでにあちこちで繰り返し述べているように、7世紀に白村江の戦において、日本の水軍が唐・新羅の連合軍に惨敗して朝鮮半島から追い出された敗北感と屈辱感を補償するためというか、ごまかすためである」

 

白村江の戦いで、唐と新羅の連合軍と戦ったのは九州王朝の兵隊である。

畿内ヤマト政権は関係していない。

万葉集に白村江の戦いの歌がひとつもない!

畿内ヤマト政権がまとめた万葉集は「7世紀~8世紀」にまたがる歌集であり、その時期の最大の事件は白村江の戦いである。
だが、万葉集全20巻中、「白村江の戦い」を歌った兵士やその恋人、家族の歌が一切収録されていない。

畿内ヤマト王権に水軍がない。これまで、遺跡もまったく見つかっていない。

 

天孫降臨神話を作り出したのは、藤原不比等が、天皇というものを強化して(作り出して?)、自分たちがその天皇に嫁さんを差し出して、恒久的に食い物にするために生み出した「システム」だからである。(上山春平「神々の体系」)

これは明らかに岸田秀の無知による「唯幻論」の暴走だろう。

何でもかんでも心理学上の「補償」概念を当てはめるという無理を犯している。

 

併せて読みたい

一神教 VS 多神教 (朝日文庫) 2013/岸田秀 (著), 聞き手/三浦雅士 (その他)

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テロは一神教の病なのか? いま世界を覆っている災禍は一神教から生じているのではないかという疑問を軸に、一神教と多神教をめぐる問題をさまざまな角度から考察するインタビュー集。

【井川意高】嫌いな欧州人に、一泡吹かせてくれようとしている◯◯◯を応援します【EU ヨーロッパ】
井川意高【熔けるトーク部屋(切り抜き)】チャンネル登録者数 1.31万人
https://www.youtube.com/watch?v=Qi-JBbI9opY

 

2023-03-21https://tennkataihei.hatenablog.com/entry/2023/03/21/181731
古代アフリカエジプト史への疑惑 (1974年) 木村 愛二 (著) 人類文明の母としてのアフリカ

2023-02-25 https://tennkataihei.hatenablog.com/entry/2023/02/25/093755
「超画期的な至高の人種理論」」 「黒人→白人→黄色人」(高野信夫 ←浜松日赤病院の皮膚科の医者 この著作はここがミソ) 三一書房 1977

 

「黒人→白人→黄色人」(高野信夫 ←浜松日赤病院の皮膚科の医者 この著作はここがミソ) 三一書房 1977

白人の出現は、黒人からの突然変異で説明できる。
黒人の両親から白子(アルビノ)とよばれる色素を作る能力を欠いた子どもが生まれることがある。
この白子が迫害され、白子だけで群れを作ったのが白人の始まりだ。

この絶対に認めたくない事実を突きつけられた白人は、白子の研究から一斉に手を引いた。
そして、「人類は肌の色に関係なく、みな同じだ、だから白子の研究をする人間は頭がおかしいか、とんでもない差別主義者だ」という風潮を作りあげようと躍起になっているらしい。

↑今回、改めて読み返したが、高野信夫氏、まさしく天才というにふさわしい…  もっともっと知られるべき…

 

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