悩んでもがいて、作家になった彼女たち: イタリア人が語る日本の近現代文学 2023/イザベラ・ディオニシオ (著)淡交社

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〈日本の近代から現代文学を彩った、タフな女の作家たちを検証!〉 〈「繊細さん」「低収入独身女子」「親ガチャ」……現代の女性たちが抱えている問題について、近現代の女性作家たちも同じよ うに悩んでいた!〉

平安時代の女性作家を新たな視点で紹介し、多くの共感を得た『平安女子は、みんな必死で恋してた』(2020)。今度は近現代 の女性の作家に迫る一冊。
前著に劣らぬ新解釈とともに、「低収入」「親ガチャ」など、現代のさまざまな問題とリンクするよ うなキーワードを設定し、女性作家たちの生きざまを分析。
制約の中で生き抜いた女性たちの、強い個性とメッセージを紹介 します。

【周囲の厳しい目にも負けず信念を貫き生き抜いた女流作家たち。自らをさらけ出した作品は、今も色褪せることなく心に訴えかける。】

達者な筆で、日本の10人の女流作家を取り上げている。これが、どれもこれもひどく面白い。

向田邦子のカレーライスとライスカレーはどう違うのかとの指摘も面白い。

カレーライスは外で店で食べるもの…
対して、ライスカレーは家で食べるものとの意見が秀逸に感じたが皆さんはどう思います?

中でも私が感銘を受けた有吉佐和子について触れたい。

有吉佐和子は私が現在、一番ハマっている作家である。

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。
昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。
以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「認知症問題と、老人介護を扱った「恍惚の人」(1972)、人種差別や偏見、または人工妊娠中絶をめぐる「非色」(1964)、公害問題を社会に突き付けた「複合汚染」(1973)。20年、否、30年先の未来を見据えた作品の数々は今もなお色褪せてはいない。」 172ページ

イザベラ・ディオニシオは、ギリシャ神話の予言の女王、カッサンドラの話から始める。

我が有吉佐和子をカッサンドラと引き比べて…

イザベラ・ディオニシオは触れていないが、

日本の島々、昔と今。 (岩波文庫 緑 180-2) 2009/2/17 有吉 佐和子 (著)

有吉 佐和子は、離島問題まで取り上げていた!!




しかし、何といっても「非色」に尽きる。

非色 (河出文庫) 文庫 – 2020/11/5 有吉佐和子 (著)

待望の名著復刊! 戦後黒人兵と結婚し、幼い子を連れNYに渡った笑子。
人種差別と偏見にあいながらも、逞しく生き方を模索する。アメリカの人種問題と人権を描き切った渾身の感動傑作!

この作品は5年ほど前に、今は維新の代議士になってる石井笛子さんが、テレビで絶賛していたのを受けて、私も読んでみた小説である。

1964年、出版というのが信じられなかった。

ケネディー大統領の公民権運動のころの話だ。

やや、図式的だが、とにかく有吉佐和子の筆は冴えわたって次々とページをめくらせる。

見事なものである。

感服しました。

彼女、終生、文学賞とは縁がなかったそうだ。

敢えて邪推すれば、男社会の文壇というものから嫌われていた??

文庫本の解説者の書き手がいなく、出版社が困ってしまったという逸話もある。

私に話を持ってくれば、タダで書いてあげたのに(笑)。

才能が有りすぎるのも、こういうところに如実に現れるのではないか??

誰も推薦する人がいなかったというオチだろうとは思う。





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